流通しているモバイルバッテリーの99%くらいはリチウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーです。
スマホやPC以外にも様々な電子機器で使われるリチウムイオン電池ですが、爆発や発火事例が毎年一定数あるようです。
特にモバイルバッテリーは品質の怪しいものも多く事例が多いようですね。
- 「モバイルバッテリーを持ち歩いてカバンの中で発火・爆発したら怖い!」
- 「発煙して自分のせいで電車や地下鉄を止めるような事態になったら・・・」
そんな心配を持つ方へ向けて「乾電池式のモバイルバッテリー」を2製品購入してみてたのでレビューしてみたいと思います。
乾電池式モバイルバッテリーは使い物になるのか?
性能で言えばリチウムイオンに圧倒的敗北。でも鉄壁の安心感はある?
小型で大容量なリチウムイオン電池ならスマホを数回満充電にできる製品もあれば、ノートPCの充電も余裕でこなせるポータブルバッテリーなんて製品もあります。
しかし、乾電池式は今時のスマホをフル充電できるほどのパワーはありません。
その性能の低さは普段からリチウムイオンの大容量モバイルバッテリーを活用している人にとっては絶望しかないレベルであり、そういう人にとっては使い物にならないでしょう。
今回検証して下記の結果となりました。
テスト1
【エレコム製乾電池式モバイルバッテリー】付属の新品乾電池4本使用
バッテリー残量23%のiPhone12 miniを充電→残量53%(30%充電)
テスト2
【Panasonic エネループ充電器(出力機能有り)】新品のエネループスタンダード4本使用
バッテリー残量25%のiPhone12 miniを充電→残量87%(62%充電)
乾電池式のモバイルバッテリーはこんな程度です。
一回のフル充電すら叶わない。
それでも「昔から見慣れた単三電池」でスマホを充電できる安心感や、リチウムイオン電池と違って「発火や爆発の危険性が圧倒的に少ない」ことが唯一のメリット。
- 「たまにスマホの充電が必要になる程度の人」
- 「性能よりもとにかく安全重視でいたい人」
こういう方は乾電池式を選択肢に入れてもよいかもしれません。
乾電池式モバイルバッテリー2製品買ってみた
「マットな質感で普通に使える」エレコム DE-KD01BK 約1,200円
PCサプライを数多く扱うエレコムの製品。
この手の乾電池式モバイルバッテリーは100円ショップでも買えますが、乾電池が2本しか入らない上に質感がチープです。(右の白いのが100均製品)
エレコムは本体表面がマットな塗装。
高級感なんて程遠いレベルですが「最大級のチープさは免れている」といった印象。
四角柱なフォルムも手に馴染みやすく意外と悪く無いです。
この製品には他にUSBTypeC端子がついたDE-KD02BKというラインナップもありますが、出力はおそらく同じで「TypeC端子だけど実質USB2.0」だと思われます。
底面の蓋を取ると電池を入れられます。
100均の乾電池式モバイルバッテリーは電池が入れにくく出しにくい作りですが、エレコムのはスマートに交換できる構造で高評価です。
本体にはスイッチが付いており、オンにすることでLEDが点灯します。
この状態でスマホと接続すると充電開始というシンプルな作りですね。
なお、内包した乾電池が弱くなりスマホへの電力供給が切れてもこのLEDは光ったままでした。
気になるポイントとしては「USB端子が奥まで刺さらない&抜き差しが硬い点」です。
個体差かもしれませんが、下記の位置より奥には差せず、抜くときも力が要ります。キツキツです。
後述するパナソニックの充電器の刺さり具合と比べると一目瞭然。
充電結果は付属の乾電池で使い切り下記の結果でした。
23%のiPhone12 miniに接続して放置。(スマホ操作せず)
ここで充電しなくなりました。30%の充電で終わりました。
(ざっくりですが、大体2時間くらい充電していた気がします)
「 単3形・単4形 USB入出力充電器」パナソニック BQ-CC91 約2,000円
こちらはモバイルバッテリーというより「ニッケル水素単3充電池の充電器にモバイルバッテリー機能がついたもの」というのが正確です。
エネループは付いてこないので別に購入しています。(エネループは4本1200円ほど)
本体はただの小型充電器です。カバーをスライドさせて電池を装着します。
こちらの充電器はmicroUSB端子を備えているのでコンセントから充電する必要がありません。
スマホの充電器などと接続して充電できるタイプです。(なぜいまだにmicroUSB端子なのか?という点はありますが)
MODEボタン長押しでモバイルバッテリーモードに切り替わります。もう一度押すとライトがつきます。
この製品のメリットは単三電池のみなら単四電池も使えるところでしょうか。
また、充電はできませんが出力だけなら乾電池も使えるようです。
(乾電池を入れて充電しようとすると検知して充電できない仕様ともありました)
持った感じは大きいです。
microUSB端子ですがお馴染みのマグネット端子をつければ関係ありません。
【関連記事】ライトニング端子やUSBC端子はマグネット端子化が最強!
では充電してみましょう。
半透明のカバーから透けるライトが綺麗です。
こちらの製品は充電が終わる(スマホに電力を送り切れなくなる)と消灯するのでわかりやすいです。
25%のiPhone12 miniに接続して放置。(スマホ操作せず)
ここで充電しなくなりました。62%の充電で終わりました。
(ざっくりですが、こちらも大体2時間くらい充電していた気がします)
乾電池式モバイルバッテリーとリチウムイオンバッテリーとの差
リチウムイオンモバイルバッテリーのmAhと乾電池のmAhは違う
単三のニッケル水素充電池をみるとこんな表記を見ますよね。
それならスマホをフル充電するぐらい容量あるよね!
電気の知識がほぼない私は当初そんなことを思っていましたが、どうも違うようです。
リチウムイオンバッテリー搭載のモバイルバッテリーは3.7VでのmAhを書いているようです。
しかし、エネループ(ニッケル水素単3充電池)には1.2V 1900mAhという表記がありました。
電圧が違います。
また、USBポートは5Vだそうです。
だから『5000mAh内蔵!』と書いてあっても大抵の場合は60%の3000mAhくらいしか実質的に使えない!というのが表記容量よりも実容量の方が少なくなる現象の答えです
つまり、充電池内にある電気がスマホに供給される過程で電圧が変わるため、リチウムイオンバッテリーでさえ表記のmAhより少ない充電可能量となるようです。
1.2Vのニッケル水素充電池なんてどれくらい少なくなるのでしょう。
これだからスマホのバッテリー残量20%台からでもフル充電は夢のまた夢という訳ですね。(電池交換して2回3回と追い充電すれば別かもですけど)
リチウムイオン電池搭載のモバイルバッテリーと重量を比べてみた
でんち三兄弟です。でんち♪でんち♪でんち♪でんち♪
まずはエレコムから。
単三乾電池を含めた状態で136g。
次はパナソニックの充電器。
単三エネループ4本含めた状態で195gでした。
次はリチウムイオン電池搭載のRAVPOWER(10000mAh)です。
187g
スマホを1回半〜2回くらいはフルで急速充電できるであろう10000mAhのリチウムイオン電池と、スマホをやっとこさ4,50%充電できる単三乾電池式。
この性能差で重量が同レベル。これが現実。
- エレコム(単三乾電池)136g
- パナソニック(単三ニッケル水素充電池)195g
- RAVPOWER(リチウムイオン)187g
さいごに
どちらにせよちゃんとしたバッテリーを買うことは必須
価格でみても容量でみても惨敗な単三電池式ですが「使えないことはないけどね」といった感じでした。
しかし普段使いで電池式はどうでしょう?毎日何かしらでモバイルバッテリーを使う人には全く向いてない容量&性能ですよね。
電力消費の高い電熱ベストとかでも当然無理がありますし。
ただ「ほとんど使わないけど、お守り代わりにモバイルバッテリーがあるといいかも」程度の人なら単三電池式で十分かもですね。
激安のリチウムイオンモバイルバッテリーを買うよりマシかとも思えますが、充電池もそれなりに安定した製品(エネループとか)を選んだ方が出力も良い感じです。