最近リチウムイオンバッテリーで火災が起きた話を聞き、今更ながらバッテリーの恐ろしさを感じています。
年々大容量化しているバッテリーですが、安全に使うために必要な情報をまとめてみました。
意外と減っていない?リチウムイオン電池・リチウムポリマー電池の事故
少ない事例とはいえ定期的に起こっている事実
製品評価技術基板機構 niteの調べでは2014年から2019年の間にリチウムイオンバッテリー関連の事故は982件あったと報告しています。
2014年度から2019年度※1の間にNITE(ナイト)に通知のあった製品事故情報※2では、LIBを搭載した製品(以下「LIB搭載製品※3」という。)の事故は合計982件※4ありました。製品別では、モバイルバッテリー、ノートパソコン、スマートフォンの事故が多くを占めています。
2018年度から2019年度にかけては、充電式の電気掃除機や電動工具の事故が急増しています。事故の多くは、事業者の指定する純正バッテリーではなく非純正バッテリー※5で発生した火災事故です。非純正バッテリーの事故は初回充電時や購入後1年未満に多く発生しています
モバイルバッテリーや非純正互換バッテリーでの事故が多いようですよね。
中国製バッテリーが出火し自宅が火災 被害男性がAmazonを提訴
また、実際に起きたリチウムイオンバッテリーでの事故を自ら発表し注意喚起されている方もいます。
【まさか自分が】モバイルバッテリーが爆発した話【事故経験談】
こちらのYoutuberの方は工具用のリチウムイオンバッテリーが発火し建物が全焼したようです。後ろの焼け焦げた建物が生々しく火事の恐ろしさを感じさせます。
でも、公になってない事例も含めると意外と身近に潜む危険なのかもしれないなぁ。
昨今、車中泊やキャンピングカー関連動画も人気ですが、車内で使っていたリチウムイオンバッテリーによる火災事例もあります。
中でも「ポータブル電源」は備蓄用途として買う人も増えましたし、家電量販店でも扱われていますよね。
私も検討したことがありますが、製品選びと管理にはモバイルバッテリー以上の注意が必要です。
ポータブル電源の異常発熱に注意、横浜市では火事3件 注意点は?
ポータブル電源はモバイルバッテリーよりもはるかに大容量のものが多く便利な反面、不具合による発火や爆発などが起こるとその威力は凄まじいものとなるのは予想がつきます。
万が一が起こったら自分のみならず、近隣住民にまで被害が及ぶ可能性を考えてリチウムイオン電池を考える必要があると思う。
全然なくならないリチウムイオンバッテリー事故(2023/05/01追記)
この記事を書いたのは1年前ですが、定期的に事故が起こっている上「比較的信頼性のおけるメーカーで起きている」のが恐ろしい所です。
3年半前に購入した『ANKER』のモバイルバッテリー、突然火を吹いて爆発… https://t.co/TxYvIjeyOf
— Share News Japan (@sharenewsjapan1) May 1, 2023
中国メーカー製スマホで8歳少女がゲームをしていたら突然スマホが爆発 少女は死亡 インド https://t.co/DjR5fPVy6I
— ツイッター速報 (@tsuisoku777) April 29, 2023
充電中のバッテリーから出火か プレハブ小屋3棟が全焼 バッテリー火災の危険 https://t.co/Vns2sGvmBT
— STVニュース北海道 (@stvhoudoubu) April 27, 2023
リチウムイオン電池の爆発・出火の威力
小型高容量を実現したからこそ取り扱いを間違うと大きな事故になりかねない
リチウムイオンバッテリーは小型かつ高容量・高出力を実現したバッテリーであるからこそ、そのメリットが真逆に働くと大変なことになります。
リチウムイオンバッテリー搭載の小物は軽量なので扱いも雑になりやすく、手からポロッと落としたりしがちです。
しかしそのような衝撃が場合によっては爆発のスイッチになりかねない事例も。
バッテリーが充電容量や消耗具合、環境などにより火を噴く、破裂する、煙が出るなど挙動は様々なようですが、どれも嬉しくありません。
リチウムイオン電池の構造とは?なぜ発火するのか?
外部短絡と内部短絡、過充電と衝撃
リチウムイオン電池の説明についてこちらの動画はとてもわかりやすいものでした。
主な原因としては外部短絡(端子部分にアクセサリーなどの金属片が接触しショート)や、内部短絡(バッテリーを床に落とすなどで内部の基板がショート)、あるいは100%になっても充電が止まらない過充電(保護回路の故障)などだそうです。
外部短絡はモバイルバッテリー をケースなどに入れることで回避できますが、落下による内部短絡は「大事に扱う」過充電は「なるべく信頼できそうなメーカーを選ぶ」くらいしかなさそうです。
信頼の判断に関してはメーカーはもちろん、PSEマークの有無やNITEでリコール情報がないかなどが材料となるようでした。
リチウムイオンポリマーなら安全なのか?
リチウムイオンポリマーバッテリーはスマホやラジコンなど幅広い製品で利用されている
よく「モバイルバッテリーはリチウムポリマーバッテリーなら安全だ」という声もありますが。本当でしょうか。
まず呼称がブレやすいようなのですが、Wikipediaを見る限り「リチウムポリマー」も「リチウムイオンポリマー」も「リポバッテリー」も同じものと考えて良さそうです。
リチウムイオンポリマー二次電池(リチウムイオンポリマーにじでんち)またはLiPo、Li-Po、リポ、リチウムポリマー、ポリマー電池は、リチウムイオン二次電池の一種である(以下ポリマー電池と記す)。
構造としてはポリマーに電解液を含ませてゲル化したものであり、電解液を使うリチウムイオン電池よりも安全性は高いものの、爆発などの危険性がなくなった訳ではないとあります。
現在実用化されているポリマー電池とは、電解質にポリエチレンオキシドやポリフッ化ビニリデンからなるポリマーに電解液を含ませてゲル化したものであり、本質的にはリチウムイオン二次電池と変わりはない。
引火性のある電解液と比べてポリマー自体の安全性は高いが[1]、爆発などの危険性が無くなった訳ではない[2]。
つまりリチウムポリマーは「危険物の中では安全な方」と言えるかもしれません。
リチウムイオンポリマー電池は、従来の電池に比べて反応性に富む素材を使っており、エネルギー密度が高いことから、使い方を誤ると重大な事故に至る可能性がある。ただし電子機器やおもちゃ等に内蔵される形で手に入るリチウムイオンポリマー電池は、それ自体に充放電制御回路や短絡・過熱保護回路が付属しているため、通常使用にあたって特にその使い方に注意を払う必要はない。
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過放電も禁物であり、保管時には過放電にならない程度に放電しておくことが望ましい。充電状態で保管すると内部短絡等で発火に至る場合があるほか、パッケージが外部の衝撃を吸収する構造ではない為、折り曲げたり強い衝撃を受けたりすると内部が短絡する可能性がある、その状態で充放電を行うと最悪の場合発火、炎上する可能性がある。
電子機器に使われるリチウムイオンポリマー電池には制御回路が付いているため、過度に不安をもつ必要はないとのこと。
モバイルバッテリーにもよく複数の制御回路や安全装置が付いてるとアピールされてたりしますよね。
リポセーフティーバッグでは燃焼を防ぎきれない製品も多数あるので注意が必要
ラジコンや電動ガンなどに使うリポバッテリーは念のためセーフティーバッグでの保管が推奨されています。
下記のようなバッテリーですね。
とはいえ、安いセーフティバッグだとリポバッテリーの威力を全然受け止め切れず真っ黒焦げになってしまうことも。
Amazonなどで検索して「とりあえず安いのに入れとけば大丈夫でしょ」では全然大丈夫じゃないこともあるので注意が必要です。
セーフティーバッグで信頼度が高い製品としてはLayLax (ライラクス) GIGA TEC PSEリポ セーフティーバッグです。
1000円以下で買える格安のセーフティーバッグでは真っ黒焦げとなりましたが、2000円以上するライラクスのセーフティバッグは見事に燃焼を抑えています。
リチウムイオン電池を安心して使うためには?
リチウムイオンバッテリーから逃れることは現代人には不可能?
既に私たちの生活で欠かせないアイテムのメインバッテリーとして日々活躍してますから、リチウムイオンバッテリーを避けるのは難しいですよね。
- スマートフォン・ノートPC
- モバイルバッテリー
- ポータブル電源
- 携帯ゲーム機
- 電動歯ブラシ
- ワイヤレスイヤホン(ヘッドホン)
- ワイヤレススピーカー
- コードレス掃除機
- コードレス電動工具
- 電動アシスト自転車
買う時点でできる対策としては「ちゃんとしたメーカー品を選ぶこと」や「互換バッテリーで安く済ませようとしないこと」が挙げられるでしょう。
購入時は高くつく訳ですが、火事で建物全焼や怪我なんか負ったらそれこそ高くつきますからね。
また、リチウムイオン搭載といえ「どれくらいの容量なのか?」で発火時のエネルギー放出も異なると思われます。
大容量であればあるほど万が一の時に備えておく必要があるのかなと考えます。
心配性な人はもしもの時を想定した保管方法・保管場所を考えておく
しかし「それでも不安だ↓↓↓」と思う(私みたいな)方は、もしも煙が出たり発火しても被害が最小限になるような保管方法や場所を用意しておくと安心できるかもしれません。
もしもの時を想定して
- 金属など燃え広がりにくい素材の入れ物に保管する(粗悪品ではないセーフティーバッグ・金属箱・アンモボックスなど)
- 換気が容易な場所に保管する(窓のある部屋)
- 発火した際に即座に消火ができる用意をする(消化器)
- 使用空間の整理整頓(モノが散乱していると出火した際に燃え広がりやすくなる)
個人的には先ほどご紹介したライラクスのセーフティバッグが良さそうに思います。(小物であれば)
持ち運ぶ予定がないならアンモボックスなどの厚めの金属箱に入れておくのも良いみたいですね。(ラジコン等のリポバッテリーユーザーがよく使う保管方法とのこと。あとは土鍋やフライパンなど火に強いフタ付きの容器など。)
ポイント
リチウムイオンバッテリーの日常生活への浸透具合をみると、全てのバッテリーを金属箱で保管することは不可能に近いでしょう。
(コードレス掃除機とかどうしろと?ポータブル電源が入るサイズの金属箱ってどこにあるんだよ?って話になるため)
また、個人的には「1つの金属箱にバッテリー類をまとめたい気持ちもありますが、そのうち1つが発火・爆発したら連鎖のリスクがあるのでは?」と思うのです。大量の花火を同じ場所で保管するような感じがするんですよね。
なので個別に保管が良いのかと思いますが、それも現実的ではありません。
最適解は不明ですが、私は「金属箱で保管」「極端に怪しい製品は控える」「充電中は見張ってる」「部屋の整理整頓」「消火アイテムの常備」でとりあえず過ごしています。
【関連記事】電気火災の備えには消化器!オール電化の火災リスクと対策法
【2022/02/11追記】ライラクスのセーフティバッグを買ってみた。
しっかりした素材で安心感抜群!持ち運びも容易なサイズ
実際に買ってみました。
●海外製品や安価品では成し得ない本物の耐火性能を実現!
●耐熱温度は約280℃、引火点は約500℃の性能を持つ熱溶解性&破裂耐性に優れた特殊コーティング&超耐火クロス素材を採用!
●素材生地から縫製までオールジャパンの信頼性!
金属製のドッグタグが付いてます。
ジャラジャラなるのでこれは要らないですね。少しかっこいいけど。
素材はターポリンっぽい固めの素材です。縫製もきれいでしっかりしています。
マジックテープで留めるタイプ。
モバイルバッテリー置いてみました。INIU(左)のが20000mAhなので、大きめのモバイルバッテリーでも楽々入ります。
さすがに2個は入りませんでしたが、綺麗にすっぽり収まりました。
ケーブルも一緒に。
これならバッグやリュックに入りますし、移動時に落としたとかで万が一のことがあっても被害を最小限にすることができるかもしれません。
ライラクスのセーフティバッグはラジコンなどのリポバッテリー用ですが、そこまでかさばらないのでモバイルバッテリーを持ち運ぶ時にも一応入れておこうかと思います。