かれこれ数ヶ月前、私はこんな動画にハマっていました。


この海外チャンネルは住んでる環境のせいなのか、ヤラセなのか毎度似たような泥汚れなのですが「捨てられた壊れたモノを再生してまた使おう」というシンプルな主張は昨今の環境への取り組み(政策)の何倍もエコだと考えます。
こんな動画に触発されて「私にこの水準でリペアはできないけど、古くて薄汚れたものを再塗装したりはできそう!やってみたい!」と思い、数ヶ月前から中古のヘッドホンを仕入れておりました。
最近ようやくこの作業が終了したのでその一部始終をまとめてみます。(画像がめっちゃ多いです)
あえてボロいSkullcandy CRUSHER Wirelessを購入
低音厨御用達のサブウーハー付きヘッドホン
ここでヘッドホンの説明を軽くしておきます。
スカルキャンディという中学生の好きそうなドクロマークのヘッドホン・イヤホンメーカーがあるのですが、ここの「クラッシャー」というモデルはヘッドホン内にサブウーハーを仕込んでおり、低音に反応してボフボフ振動します。
私は海外のトラップミュージックなど低音(サブベース)が「ボーンボーン」となる系の音楽が好きなので、興味本位でクラッシャーの初代モデル(乾電池式)買ったことがあります。
SONYやそこらの「重低音モデル」は言うても低音域強めた程度なので、ガチでサブウーハー入れて揺らしてくるスカルキャンディはとてもクリエイティブなメーカーなんですよね。

で、現在はノイズキャンセリングを付けたCRUSHER Wireless ANCモデルが最新ですが、その前(乾電池式の後、ANCの前)のCRUSHER Wirelessだと大体15,000円くらいで買えます。
使い込むつもりなら新品買いますが「たまにボフボフ振動を楽しむだけなら中古でいいや、ついでにリペアしたいからボロいの狙ってみよう」というのがこの記事の主たる経緯となります。

で、うまいこと3000円で仕入れることができたボロCRUSHER Wirelessがこちら。
パッドが裂けて中のスポンジが見えてる&全体的に薄汚れています。
このCRUSHERは表面がラバー塗装で、それが劣化して剥がれているようなところも多々。前所有者の部屋の香りとおぼしきスメルもします。
壊れたり不具合はないようで、配線やバッテリー関係を弄らなくてよい「初心者向けのリペア対象」と言えそうです。

Skullcandy CRUSHERの分解と塗装剥離&再塗装
配線を取らずに分解はなかなか難しい
まずこのパッドはいらないので捨てます。
ヘッドホンの交換パッドは大体互換品があるのでそれを調達しておきます。
ハウジングの分解に取り掛かりましょう。3箇所のネジを外す。
リチウムイオン電池が粘着テープで引っ付いてます。下手すると発火したりしそうなので無理やり剥がすことはできません。
写真にはありませんが、私は裁縫用の糸を両手の指で持ち、粘着部分に潜り込ませて「ワイヤーのこぎりで木を切るような動作」で粘着テープをゆっくり処理していきました。(粘着を絡めとって糸が切れるので何度も繰り返す)
ヘッドバンド部も分解します。
外側のネジはトルクスネジでした。(他のネジはプラスと六角)
内側の2本(プラス)を外すとアーム部分が取れます。
外し方に難儀したのですが、引っこ抜くのではなく真ん中にヘラを差し込み上下に押し開く構造でした。
これでバンド部分を分解できそうです。接合部のパーツはケーブルがついてるのでバラせません。
ヘラを差し込んでパリパリと剥がしていきます。(後にスライドさせて固定していると判明)

バンド部分はこういう構造なんですね。
それより左右のハウジングを繋ぐケーブルが邪魔すぎです。
ケーブルを取るにはハンダを取らなければいけないのですが、バッテリー繋がってるしケーブル細いしハンダ初心者だし1ミリも勝ち目がありません。
仕方ないので切れ目を入れて逃す作戦を取りました。
内側のバンドはシリコンで、その中に蒸しパンみたいなスポンジが入ってます。当然ですが洗います。
塗装をする上で、接合部のこのパーツが取れないのは問題です。ここもラバー塗装されてますし薄汚れているので見逃す訳にはいきません。
悩んだ末、「もとからこういう形だったんじゃね?作戦」を取ることにしました。
ニッパーで切りケーブルを逃し・・・。
形をつくって「元からこういう形状のパーツでしたけど?感」を演出してみる。そしてケーブル問題は解決とした。
別個のパーツを工場で組み立てるのとは違い、既に組み上がったものをこちらに都合よくバラしていくのは大変でした。
クレオスのカラーうすめ液でラバー塗装を剥離する
薄々気づいてはいましたが、このドクロマークも塗装なので剥がれるんですよね。
「きっと完成系は無印良品で売られているようなヘッドホンになってしまうんだろう」なんて思いながらクレオスのカラーうすめ液で塗装を剥がしていきます。
よく液剤を浸透させるためにラップを使いますが、ハウジング部分をこの方法でやったら大正解でした。
おー!ラバー塗装がうすめ液にやられてベロっと剥離してきました。これはこれでオシャレな造形。
ラバー塗装が卵の薄皮のようにペロッと剥けます。きもちいいーーーーー!
抜かりはないですね。悔やまれるはドクロマークと各種印字が全部消えたことでしょうか。(一応剥がす前に撮影したので印字はシールという形で復活させることも可能ではありますが・・・)
内部以外のパーツは全部剥がしてかるく紙やすりをかけ洗浄しました。(ヘッドバンド部分も超念入りに洗いました)
最後に再塗装をするもあんまり綺麗な仕上がりにできず・・・
よくプラモ作ってる人って棒にクリップがついたもの使ってますよね。
買うのも何なのでダイソーで竹串とグルーガン、園芸吸水スポンジを買ってきて自作しました。
プラ素材ならグルーガンのグルーはペリッと剥がれるでしょうと・・・。(この読みは正解でした)
家にあったミッチャクロンとサーフェイサー(グレー)を吹いたのち、ホワイトラッカーで塗装。
グレーの下地のせいで、何度も重ね塗りしないと白にならず・・・。
買ってでも白いプラサフにした方がよかったです。
一応艶消しクリアは買ったんですけど、グレーの下地が失敗だったことに意気消沈してクリア吹くのやめました。
塗装剥がれたらもう白以外の色にします。

ウーハー調節のスライダー部分とか難しすぎてグレー残ってますしね!そこはもう諦めました。
早く組み立てたい!
そんなこんなで再組み立て
色々ありましたが私なりの処理を終えて分解パーツが揃いました。(新しいイヤーパッドも届きました)
組み立てましょう!3ステップでどうぞ。
記事で見るとスムーズですが、実は分解してから組み立てまで1ヶ月は空いてるので「このネジどこだ?」とかやりながら組み立ててました。
できた!
このCRUSHER Wirelessは充電ポートがmicroUSBと旧時代の端子ですが、私には奥の手があるので全く気にしません。
毎度お馴染みのマグネット端子ですね。これのおかげで人生変わったレベルに快適です。
【関連】ライトニング端子やUSBC端子はマグネット端子化が最強!
さいごに
CRUSHER Wirelessのレビュー
初代(乾電池式)よりも音質が良くなっているのと、装着感が向上しているような印象でした。
私は普段beyer dynamic DT990 Proを愛用しているのでCRUSHERは「気分転換に使う程度」だと思いますが、それこそBluetoothでケーブル無しの恩恵があるというか、気軽に使えるヘッドホンとして良いと思います。
低音のボフボフに関しては調節スライダーをMAXにしても初代よりは破綻してないような気がします。曲にもよりますが。
逆にウーハーを切って「ごく普通のヘッドホン」としてみても低音はちゃんと出ているので不満はないかと。
(それだとCRUSHERである意味がほぼ無くなりますけどね)
あと電池持ちがすごくいい。
音楽だけではなく映画などの低音(爆発音とか?)にも反応できるようなので、深夜に爆音で映画みたい人とかにもいいのかな?

商品の構造も知れるしあんまりお金かからんし時間も潰れる趣味
もう一度ビフォーアフターを載せたい。

まぁ元々壊れていた訳ではなく単に薄汚れていただけですけど、自分で手をかけてみるとやり遂げた感があります。塗装は微妙ですけど。
ちなみに有機溶剤(カラーうすめ液)で塗装を剥がしたあたりから「前所有者の部屋の香りとおぼしきスメル」は完全に消えました。
これがジャンク品になると技術が必要な上にギャンブル要素も出ますが、数をこなすほどに経験値も高まり(精神的に)満たされるモノもあるので趣味としては悪くないのではと思います。
